矯正装置はとてもデリケートです.不用意に固いものを強い力で噛むとこわれてしまいます.こわれたまま気がつかないでいると,そこの部分だけ歯が動かず,せっかく最短距離で設定した治療計画が長引いてしまいます.
矯正治療中には,歯の周りの骨の改造(つくりかわる)がおこります.これはちょうど赤ちゃんが大きくなってゆくのと同じような現象です.バランスのとれた栄養素をとっていかないと骨の改造がうまくいかず,きちんと治らないばかりか,長い治療期間がかかってしまいます.
骨の改造のために必要な栄養素は,カルシウム・マグネシウム・たんぱく質・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンK・クエン酸 などです.
矯正治療中のカルシウム・マグネシウム等のミネラルの補給については,他ページで詳しく説明しておりますので,そちらを参考にしていただくとして,(矯正治療中のミネラルの補給にジャンプ) まず,たんぱく質.
お肉は,確かにたくさんのたんぱく質を含んでいますが,一見あまりたんぱく質を含んでいそうもない豆腐や生麩などのほうが吸収率からみると優れています.牛乳を使ったグラタンなどのホワイト・ソースも,ミネラルの摂取の点もあわせてとてもいいと思います.
ビタミンCは緑黄色野菜やくだものから,ビタミンDは干し椎茸やたたみいわし・かつおやレバーから.ビタミンKは緑黄色野菜からも採れますが,腸内善玉菌によっても合成されますので,薄く切ったレンコンのきんぴらなど噛みやすい繊維質の物をよくとって,便秘などせずいつもきれいな腸でいてください.また細胞内の呼吸を促すクエン酸も,レモンやオレンジ梅干しなどの果実からとってください.
食欲のないときも,健康と順調な治療の進行のために,ぜひがんばってきちんとした栄養をとってください.牛乳や卵,またそれらをつかった柔らかい焼き菓子なども結構です.また,食欲がないときにも,味の濃いものだと,おいしく戴けますので,ケチャップやドミグラスソースでしっかりと味をつけたオムライスやハヤシライスなどもいいです.
ただし,カレー に含まれる黄色い色素であるターメリック(うこん)は,矯正ワイヤーを固定し,歯を動かすチェーン状のゴムを着色してしまいます.カレー好きの方は,ゴムを変えに来院されるか,調整前日にまとめて召し上がるようにしてはいかがでしょうか?